名古屋女性演劇賞

第4回「名古屋女性演劇賞」受賞者の決定について

2018年6月にご逝去された故・江崎 順子氏は、女性のみで結成した劇団・夏蝶の代表として活躍し、名古屋市民芸術祭賞や名古屋演劇ペンクラブ賞を受賞するなど名古屋が誇る演劇人です。江崎氏の遺志を受け継ぎ、ご遺族から当事業団に寄付された1,300万円を基金として、2019年度に「アクテノン記念 江崎演劇賞」を創設しました。第1回受賞者に俳優の小嶋 彩子氏が選考されたことを契機として、より一層故人の生前の活動とご遺志に寄り添う演劇賞にしたいと考え、俳優・スタッフなど演劇のあらゆる分野で活躍している女性演劇関係者を表彰する「名古屋女性演劇賞」としました。
江崎順子氏の略歴はこちら

受賞者について

木場絵理香舞台衣裳〉

授賞理由

木場絵理香氏は、金城学院大学演劇部卒業生で結成した劇団きまぐれの衣裳デザイン・製作を経て、プロフェッショナルとしてストレートプレイやミュージカル、オペラなど様々なジャンルの舞台衣裳を手掛けており、好評を博している。
名古屋地域では、劇団うりんこや劇団ジャブジャブサーキット、愛知県文化振興事業団、名古屋市文化振興事業団など、実力のある劇団や公的団体から衣裳デザインを委嘱されるなど、最も信頼のおける衣裳デザイナーの一人である。その活躍は名古屋に留まらず、トム・プロジェクトや兵庫県立ピッコロ劇団、オペラシアターこんにゃく座、松竹株式会社など、全国レベルの劇団などから衣裳デザイン製作を委嘱されている。近年は、コロナ禍にありながらも精力的に活動し、現代劇のほかにも明治時代を舞台にした作品や中世ヨーロッパを舞台とした作品など、時代考証が求められる細かなデザインの作品も手掛け、信頼も厚い。今後も、衣裳家としてだけでなく、後進の指導者として、名古屋の演劇界への貢献が一層期待できる。

略歴

1984年、劇団きまぐれ入団。87年、金城学院大学短期大学部被服科卒業。89年、名古屋モード学園中退。金城学院大学演劇部の卒業生で結成した劇団きまぐれの衣裳デザイン・製作をはじめ、名古屋を拠点に多数の演劇、ミュージカル、オペラ等の衣裳デザイン・製作を担う。

近年の主な活動状況

2023年8月 劇団うりんこ創立50周年記念公演「フングリコングリ」(会場/うりんこ劇場)衣裳デザイン 原作/岡田淳 脚本・演出/田辺剛
2023年2,3月 松竹株式会社「歌うシャイロック」(会場/京都四條南座、東京サンシャイン劇場)衣裳デザイン 脚本・演出/鄭義信
2022年12月

なごや芝居の広場 第7弾「いつか来る季節」(会場/昭和文化小劇場)衣裳デザイン 原作/広小路尚祈 脚本・演出/鹿目由紀

2022年8,9月 ラストラーダカンパニー「らふぃゆれふぃゆ」(会場/パルテノン多摩小ホール、愛知県芸術劇場 小ホール)衣裳協力 演出/LONTO
2022年6月

ともだち事務所「リア王」(会場/愛知県芸術劇場小ホール)衣裳デザイン
脚本/シェイクスピア 翻訳/松岡和子 脚色・演出/鹿目由紀

2021年12月

なごや芝居の広場 第5弾「綺譚/鹿鳴館」(会場/名古屋市芸術創造センター)衣裳デザイン 脚本/結崎涼 演出/大嶽隆司

2021年8月 なないろ歌劇団オペラ「魔笛」(会場/知多市勤労文化会館)衣裳デザイン
脚本・演出/齋藤敏明
  • 劇団うりんこ50周年記念公演
    「フングリコングリ」衣裳プラン
    (2023年8月)

  • なごや芝居の広場 第5弾
    名古屋市芸術創造センタープレミアムセレクト
    「綺譚/鹿鳴館」衣裳プラン・製作
    (2021年12月)

第3回「名古屋女性演劇賞」受賞者の決定について

受賞者について

川村ミチル俳優・劇作家・演出家

授賞理由

俳優・劇作家・演出家と多岐にわたり活躍する気鋭の演劇人である。
1991年から2010年にかけて、児童劇を得意とする劇団うりんこにて数々の舞台に出演するとともに、脚本や演出の経験を積む。2011年に劇団そらのゆめを立ち上げ、名古屋を拠点に巡回公演を行う他、各地の公共団体から依頼を受け、市民参加型の創作劇を数多く手掛けている。また、レクチャーにも評価が高く、演劇ワークショップの講師や教員を対象とした演劇指導、高校演劇大会の審査員などの依頼が後を絶たない。
近年の活躍も顕著であり、コロナ禍にありながらも2021年には劇団そらのゆめ創立10周年記念公演「新美南吉のきつねの話」を成功させ、上演レパートリーとして再演を重ねている。2022年には、くも膜下出血を患うが、無事に快復してすぐに活動を再開。2023年には文化芸術関係者の横断的団体である愛知芸術文化協会(ANET)の30周年記念公演として演劇や舞踊、音楽といった様々なジャンルの出演者が多数参加する「雨あがりの宴」の脚本・演出を担った。明るく前向きな性格で、文化芸術関係者からの信頼も厚いことから、多才を遺憾なく発揮して演劇界を牽引できる人材として、高く評価した。

略歴

京都府生まれ。1991年に劇団うりんこに入団。俳優として活躍するとともに脚本や演出も手がける。2010年に退団し、翌2011年2月に劇団そらのゆめを立ち上げ、代表を務める。
幼児から大人を対象とした演劇ワークショップ、学校の表現教育授業等の講師も多数務める他、オペラやミュージカル、朗読劇などの脚本・演出も手がけるなど幅広く活動している。

近年の主な活動状況

2023年1月 名古屋市芸術創造センター連携企画公演 愛知芸術文化協会30周年記念舞台企画「雨あがりの宴」(会場/芸術創造センター)脚本・演出
2022年10月 愛西市文化会館主催 ミュージカル「ジャックと豆の木」(会場/愛西市文化会館)脚本・演出・出演
2022年9月

劇団天白月夜第4回本公演 天白文化小劇場開館25周年記念第4弾「ほたる館物語」(会場/天白文化小劇場)脚色・演出

2022年7月 ダンサーと音楽家によるベイビーシアター「アララ・ホララ・ソララ」(会場/アイプラザ一宮 小ホール)構成・演出
2022年4月

親と子のみどりの杜合唱団 ミュージカル「ガンバと仲間の大冒険」(会場/長久手文化の家)脚本・演出

2021年10月

劇団天白月夜第3回本公演「月と森のソネット2021」(会場/天白文化小劇場)脚本・演出

2021年6月

劇団そらのゆめ創立10周年記念公演「新美南吉のきつねの話」(会場/天白文化小劇場)出演

2020年9月 劇団天白月夜第2回本公演「相思~或るDEATH DANCE~」(会場/天白文化小劇場)脚本・出演
  • 劇団そらのゆめ創立10周年記念公演
    「新美南吉のきつねの話」出演
    (2021年6月)

  • 名古屋市芸術創造センター連携企画公演
    愛知芸術文化協会30周年記念舞台企画
    「雨あがりの宴」脚本・演出
    (2023年1月)

第2回「名古屋女性演劇賞」受賞者の決定について

受賞者について

花植 厚美〈照明デザイナー〉

授賞理由

フリーの照明デザイナーとして、日本演出者協会や日本劇団協議会といったプロの演劇人が集まる横断的団体の公演から、アマチュア劇団や市民参加型公演まで数多くの照明を手がけるなど、名古屋地域の演劇界を支える信頼の厚い照明デザイナーである。
こうした活動で、日本照明家協会から2014年に新人賞、2018年には努力賞を受賞するなど、全国レベルで照明デザイナーとしての技量を評価されている。
近年の活躍も顕著で、新型コロナウイルス感染拡大防止の影響を受ける中でも、年間20作品以上の公演に携わっており、演出効果の期待を見事に実現する照明デザイナーとして、オファーが後を絶たない。最近では、2021年12月の日本劇団協議会「かもめ」の照明が、良質な公演という評価に大きく貢献している。
若手演劇人の作品創りにも温かく向き合う穏やかな人柄から人望が厚く、今後も名古屋の演劇界に欠かすことのできない優れた人材として、一層の活躍が期待できる。

略歴

愛知県知多市生まれ、在住。愛知県立の工業高校にてデザインを学ぶとともに、演劇部に所属して魅力を知る。高校卒業後、1989年に名古屋市内の舞台製作会社に入社し、照明部に配属。8年余りの在籍の後、フリーの舞台照明デザイナーとして名古屋を中心に精力的に活動を続けている。

近年の主な活動状況

2021年12月 日本劇団協議会「かもめ」
(会場/千種文化小劇場)照明デザイン・操作
2021年10月 名古屋西高等学校 第2回「創造表現コース成果発表会」
(会場/西文化小劇場)照明デザイン・操作
2021年8月 総合劇集団俳優館ミュージカル「雪の女王」
(会場/愛知県芸術劇場小ホール)照明デザイン・操作
2021年4月 きりん演劇プロジェクト「三島 由紀夫作 近代能楽集より『班女』『葵上』」
(会場/愛知県芸術劇場小ホール)照明デザイン・操作
2021年1月 日本演出者協会東海ブロック「永井荷風の戯曲を読む」
(会場/名古屋市芸術創造センター・リハーサル室)照明デザイン・操作
2020年12月 劇団LOVE K.O!「コロキャン」
(会場/愛知県芸術劇場小ホール)照明デザイン・操作
2020年3月 オレンヂスタ第9回公演「黒い砂礫」
(会場/七ツ寺共同スタジオ)照明デザイン・操作
2020年1月 劇団テアトロ☆マジコ第12回公演「ジパング」
(会場/千種文化小劇場)照明デザイン・操作
  • きりん演劇プロジェクト
    「三島由紀夫作 近代能楽集より『班女』『葵上』」
    (2021年4月)

  • 日本劇団協議会「かもめ」
    (2021年12月)

第1回「名古屋女性演劇賞」受賞者の決定について

2018年6月にご逝去された故・江崎 順子氏は、女性のみで結成した劇団・夏蝶の代表として活躍し、名古屋市民芸術祭賞や名古屋演劇ペンクラブ賞を受賞するなど名古屋が誇る演劇人です。江崎氏の遺志を受け継ぎ、ご遺族から当事業団に寄付された1,300万円を基金として、2019年度に「アクテノン記念 江崎演劇賞」を創設しました。第1回受賞者に俳優の小嶋 彩子氏が選考されたことを契機として、より一層故人の生前の活動とご遺志に寄り添う演劇賞にしたいと考え、俳優・スタッフなど演劇のあらゆる分野で活躍している女性演劇関係者を表彰する「名古屋女性演劇賞」としました。
江崎順子氏の略歴はこちら

受賞者について

おぐり まさこ〈俳優・演出家〉

授賞理由

おぐり まさこ氏は演劇ユニット空宙空地の代表として、名古屋での公演活動はもとより全国各地を巡るツアー公演やオンライン企画、劇団の枠を超えて数多くの俳優が参加するイベントを企画するなど、多彩かつ精力的な活動で注目を浴びている。
さらに、公益信託キャンドル演劇奨励基金や芸術文化振興基金の助成に採択されるなど、演劇プロデューサーとしての手腕も評価が高い。また、俳優としての才能にも高い評価を受けており、主演作品が様々なコンペティションで賞を受賞しているほか、大阪in→dependent theatre1st主催の第3回「30GP」では俳優賞を受賞し、劇作家協会東海支部主催第3回「俳優A賞」では受賞候補にノミネートされた。
近年の活躍もめざましく、新型コロナウイルスの影響下にあっても名古屋・東京・大阪・札幌の4都市ツアー公演を敢行し、全国学生演劇祭の審査員やワークショップ企画など若手の創作者育成にも力を入れるなど、精力的に活動している。
演劇ユニットの代表として様々なイベントをプロデュースするとともに、実力派の俳優・演出家として名古屋演劇界を牽引していくことが期待されることから、今回の授賞に至った。

略歴

名古屋市生まれ、在住。2013年に演劇ユニット「空宙空地」を立ち上げ、代表兼プロデューサーとして活動。2015年7月に関戸 哲也氏が参加し、二人体制となる。拠点である名古屋を中心に東京や大阪をはじめ全国各地でツアー公演やコンペディションに参加するなど精力的に活動している。

近年の主な活動状況

2021年1月 30GP参加「たりない二人」出演
(会場/in→dependent theatre1st【大阪】)
2020年11月 「宙空地20-21ツアー公演(名古屋・東京・大阪・札幌)「その鱗 夜にこぼれて」出演
(会場/名古屋市千種文化小劇場ほか)
2020年1月 30GP参加「飛ばないロケット」出演
(会場/in→dependent theatre1st【大阪】)
2019年11月 空宙空地第7回本公演・名古屋市芸術文化団体活動助成事業「その鱗 夜にこぼれて」出演
(会場/七ツ寺共同スタジオ)
2018年3月 名古屋市立北高校芸術鑑賞会「ふたり、目玉焼き、その他のささいな日常」出演
(会場/アートピアホール)
2016年11月 空宙空地第5回本公演 名古屋市民芸術祭2016特別賞受賞
「轟音、つぶやくよう うたう、うたう彼女は」出演(会場/七ツ寺共同スタジオ)
  • 30GP参加「飛ばないロケット」
    (2020年1月)

  • 名古屋市民芸術祭2016参加公演
    「轟音、つぶやくよう うたう、うたう彼女は」
    (2016年11月)

第1回「名古屋女性演劇賞」授賞式を開催しました

令和3年5月27日、7th cafe(ナディアパーク7階)にて第1回「名古屋女性演劇賞」授賞式を開催しました。
授賞式では、当事業団の杉山理事長から受賞者のおぐり まさこさんに賞状楯を授与しました。また、おぐりさんからも今後の抱負などをお話しいただきました。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、ごく限られた出席者のみでの開催となりましたが、心からの拍手でお祝いすることができました。

第1回アクテノン記念 江崎演劇賞受賞者の決定について

受賞者について

小嶋 彩子<俳優>

授賞理由

小嶋 彩子氏は、当地域で上演される演劇公演において主要な役どころを数多く演じている俳優の一人であり、持ち前の真面目でひたむきな人柄と真摯で丁寧な役づくりにより高く評価されている。
近年の活動も「戦争を語り継ぐ演劇公演シリーズ」への連続出演や、水上勉原作の重厚な人間ドラマ「飢餓海峡」の杉戸八重役を演じるなど顕著であり、存在感と繊細さを兼ね備えた中堅俳優として、今後一層の活躍が期待できる。

略歴

'97年A&Aアカデミーにて演劇を学ぶ。01'年から出演を続けている遠山事務所公演では「命ぼうにふろう」「雪やこんこん」「どん底」「道」「飢餓海峡」等多数の主演を務める。'12年~'15年には劇団スイセイミュージカルの全国ツアー公演に「楽園」他3作品で参加し、商業演劇にも進出を果たす。
また名古屋市文化振興事業団のミュージカルに'08年「オズの魔法使い」'10年「海の向こうに」'16年「ザ・ミュージックマン」等5作品に出演。2019年には名古屋の演劇人が贈る名作劇場「煙が目にしみる」に出演。
そのほか『時代横町』『戦争を語り継ぐ演劇公演』等、出演の幅を広げ活躍中である。

近年の主な活動状況

2012年~15年 劇団スイセイミュージカル「楽園」主要キャストとして全国ツアーに参加。
2016年11月 「望郷 サンダカン八番娼館」主演
(作/山崎 朋子、脚色/ふじた あさや、演出/遠山 元、会場/名古屋市芸術創造センター)
2018年5月 戦争を語り継ぐ演劇公演「沈香」出演
(作・演出/伊藤 敬、会場/名古屋市東文化小劇場)
2019年10月 「飢餓海峡」主演
(作/水上 勉、演出/遠山 元、会場/名古屋市芸術創造センター)
2019年12月 名古屋の演劇人が贈る名作劇場「煙が目にしみる」野々村礼子役
(作/堤 泰之、演出/神谷 尚吾、会場/名古屋市東文化小劇場)
  • 戦争を語り継ぐ演劇公演「沈香」
    (2018年5月)

  • 遠山事務所公演「飢餓海峡」
    (2019年10月)

  • 名古屋の演劇人が贈る名作劇場
    「煙が目にしみる」
    (2019年12月)