【第11回】華房 小真先生
端唄って何?其の二
本回の2月号執筆中、元旦より能登半島を震源とする大地震が起き、甚大な被害が広がり1週間以上経った今も尚復旧は困難を極めています。被災された皆様方に心よりお見舞い申し上げます。
斯様な事態に私自身は無力感に苛まれますが、この連載記事を通して令和6年元旦からの現状を記しておかなければと思い至り、誌面をおかりいたしました。
端唄は、江戸時代の詠み人知らずの流行歌であり三味線小歌曲ですが、これが流行する中、江戸時代末期に端唄を母体として小唄・歌沢の姉妹が誕生。今回は、小唄が生まれた背景と時代を簡単にご紹介します。
小唄第一号の曲「散るは浮き」が誕生したのは、この度の大地震のように、1855年前後に日本各地で連発した震度6強の安政大地震による混乱の真っ只中でした。各地で甚大な被害をもたらす中、この小唄を世に出した「お葉」は、当時16歳。父の清元延寿大夫を1855年11月に亡くし、先行きが見えない世の中で、一門を率いていかなければならない長女お葉の胸の内はいかばかりであったかと察して余りあります。幕末から明治へ移る激動の時代で思想や価値観が大きく変わっていった時代です。
このような時世でありながら時代を超えて歌い継がれる「小唄」というジャンルを生み出したお葉の才能・勇気・エネルギーに敬服いたす思いです。小唄第一号「散るは浮き」は、亡父と縁の深い松江藩松平不昧公の和歌をお葉が改作し、作曲。他の三味線音楽は撥を使用して演奏する中、楽曲を早間で更に軽妙洒脱な音色にして「つめ弾き」という小唄の特徴的で画期的な奏法を取り入れました。
小唄が誕生してから約170年。多くの時代の荒波をくぐり抜け、一つの曲が人から人へ歌われ続けてきたことを思うと、この先もまた端唄・小唄が、時代を超えて歌い継がれていく工夫をしなければと改めて感じております。
更新日:2024.01.12
【第10回】加藤 条山先生
やっとかめ文化祭
11月4日、名古屋市の恒例行事である「やっとかめ文化祭」に民謡、津軽三味線の方々と共に、我々尺八も参加させて頂きました。皆さん、素晴らしい熱量の演奏でした。
まず、企画の段階で、事業団の方から「若い方達で女性も入って頂けるといいですね」とアドバイス頂き、当初は女性が集まるか不安でしたが、私を含め尺八を生業とする演奏家が4名(内女性1名)、大学生1名、大学院生1名、社会人の女性2名、女子高生1名の9名で本番を迎えることができました。若い奏者のプロアマ混合で吹くということで、老婆心もあり、上手くいくかと心配しましたが、皆さん堂々と演奏され、私の心配は杞憂となり一安心。当日、楽屋でメンバーと会話をしてみると「こういった演奏する機会はなかなかないので嬉しい、どんどん演奏したい!」と前向きな意見が出てきました。
本来、舞台や人前での演奏は、練習では感じられない緊張感があり、恐怖と喜びは紙一重だったりします。しかし、若いメンバーがそれを困難とも思わず前向きに楽しく、演奏に向き合ってくれるのは、私にとってもポジティブで、とても嬉しいことです。
尺八に限りませんが、名古屋にも、プロアマ問わず血潮たぎる若い演奏者が沢山います。私も地元名古屋の演奏家として、若いプレイヤー達を牽引できるよう、熱い気持ちで演奏する機会を作ってあげられたら嬉しいです。
更新日:2024.01.04
【第9回】國分 入道光雲先生
和太鼓の力~Part2~
(前回の続きとなります)
さて、飛鳥師匠の気合に押され気味の素人集団、大変なのはここからでした。
小競り合いなどは収まったものの、111人すべてがセンスがあるかと言えば、中にはぎりぎりでオーディションを合格した者も。
設楽打ち(一定のリズムで太鼓を打つ)例えば4分の4拍子で有れば一小節の中でドンドンドンドンと四回打つ、そしてこれを8小節16小節32小節と繰り返していく練習があります。普通で言うと(あくまで私の感覚なのですが)単純作業の繰り返しに感じますが、これを安定して打てない人もいる。
さらに倍の4分の8 4分の16になると手が回らなかったりリズムが安定しなかったり、本来であればこの練習をしっかりやって安定してから曲の練習に入るわけですが、111人に2か月で7分近くの曲を仕込むのですから、そんなことも言っていられない。
自分で言うのもなんですが、比較的リズム感の良い私は何の問題もありませんでしたが、当時素人の私から見てもこれは大変だぞと感じていましたし、今思うなら、飛鳥師匠よくこのハードルが高すぎる指導を受けたと、改めてそのすごさを感じています。
覚悟がなければ到底出来ることではなく、だからこそ、「スタートで行き成りつまずく暇はない」その思いがあの一言に凝縮されその責任感と、心粋に我々は心動かされたのでしょう。
しかしこの111人のメンバーの良いところは、この人に着いていこう、この人と共に結果を出そう、そう思うと一気の方向性が統一され、中途半端ではなく、とてつもない力を発揮していくのです。
某暴走族のリーダーの一言で、すべてのメンバーが一気の動き出す感じ・・・・わかりますよね。
もちろん飛鳥師匠のカリスマ性もありましたが、ともに指導に入っていた「あすか組」の現役プロメンバーの一人一人の人間性、そして、何よりも、我々が名古屋ドームで演奏するための曲のイメージをつけるために、指導者メンバー4人でしたが、この曲を演奏してくれたその姿に、一同が感動を覚え、演奏が終わったとたんに、111人からの感動の拍手と歓喜の声が湧きあがりました。
なかには涙まで流すものも。かくなる私もその一人でしたが(笑)
そして最後にはアンコールの声が上がり、そのアンコールの声に飛鳥師匠がこう答えました。
「ただで見せるのは、今回だけや、続きが見たいなら・・・〇月〇日開催のコンサートへぜひお越しください」
関西人らしい落ちのきいた一言に全員が大爆笑。
でもこの和霊の中で、自分達111人が、あの名古屋ドームで今の曲を演奏する、その時、何が起こるかを想像した時にはワクワクが止まりませんでした。
しかし、まさか自分の人生がこの時、ここまで大きく変わってしまうことを想像することはできませんでした。
更新日:2023.11.10
【第8回】石田 巳賀先生
花に恋して~11月
菊花薫る季節になりました。11月は秋の花を代表する菊の花が旬を迎えます。桜と並び日本の国花で、とても馴染みのある花ですね。今回は、菊の話を少し。
写真の作品は、G20愛知・名古屋外務大臣会合夕食会(撮影日:2019年11月22日)でいけた作品のひとつです。花材は、カガリベンギク・ウメモドキ・モミジ。花びらの先端に突起があるカガリベンギクは、愛知県と国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構との共同育成品種で、ベストフラワー(優秀賞)を受賞されています。とても可憐で、和風・洋風どちらも似合い、現在は、白・紫・黄色が開発されています。他の色も、今後期待できそうですね。
菊の花言葉は「高貴」「高尚」「高潔」。皇室の紋章に用いられています。原産は中国。平安時代に日本に伝えられました。不老長寿の霊性があるといわれ、数多くの詩や能の演目の題材になっています。少し紹介しますと、陶淵明(とうえんめい)の漢詩に「秋菊有佳色」の一説や、能「菊慈童(枕慈童)」などがあります。紫式部は、夕刻、菊の花に綿をかぶせ(菊の着せ綿)、朝露に濡れたその綿で顔をぬぐいアンチエージングしていたとか。
凛とした大輪の菊も美しいですが、自然に咲く小さな野菊も可愛らしいもの。菊花の香を楽しみながら、お部屋に飾ってみてください。
【花いけワンポイント】菊をいけるとき、葉の模様の美しさを生かしてみてください。
更新日:2023.10.18
【第7回】華房 小真先生
「端唄」って何?其の一
小唄という言葉はちらっと小耳に挟んだことはあるけれど、端唄(はうた)というジャンルは初めて聞きました。という方が案外多くいらっしゃいます。
今回は、私が専門とする邦楽の一つである「端唄」を、数回にわけてご紹介させていただきたいと思います。
端唄は、わかりやすく一言で言うと江戸時代の流行歌「はやり唄」です。上方端唄、江戸端唄があり、現在は「端唄」と称しています。
曲の長さは、約30秒から長くて4分くらいの三味線を伴奏とする室内小歌曲です。端唄の「端」とは、通り過ぎるくらい早いもの、さっーと流行したなど「粋な」とか「カッコいい」といった意味だったそうです。
端唄の短い歌詞には、風情・心情・人情がちりばめられ、和心が巧みに現されています。文学でいうとポエムや短歌・俳句などの表現に近いものがあります。
民謡・俚謡が地方文化の反映であるなら、端唄は都会的で洗練された味わいがあります。
「はうた」という文字は、すでに江戸時代1650年頃の唄本の中に見受けられますが、平和な世の中となり文化が爛熟していくと、一般庶民の生活も豊かな時間を享受する時代がやってきます。三味線音楽も身近な存在になり、たくさんの楽曲も生まれ、庶民もお武家さんも老若男女を問わず愛唱されていきました。
また、端唄は、その曲の元唄の歌詞に対して、歌詞の異なる替え歌がたくさんあるのが特徴的で、曲名は、ほとんどがその曲(元唄)の歌詞の歌い出し部分が曲名となっています。
江戸時代は、ほとんどの曲が作詞作曲者不明の「詠み人知らず」です。
明治になるとようやく作詞作曲名が記してある曲も出てきます。
端唄は、歌舞伎、芝居音楽の挿入歌や落語の出囃子にも演奏されています。歌舞伎、芝居では
バックミュージックとして、短い楽曲の中にその場面ごとの状況描写や心情がしっかり表されているので、歌舞伎などを観劇されるときには、挿入される端唄の歌詞や三味線にも耳を傾けて頂くと、違う楽しみ方もできるかと思います。
様々な三味線音楽がある中で、端唄は邦楽の入門編にぴったりの身近な存在となる伝統音楽です。
更新日:2023.09.09
【第6回】加藤 条山先生
「これ楽譜?」
皆さんの中には、楽器は演奏してみたいけれど、五線譜はちょっと、という方も少なくないと思います。音楽の授業で五線譜を見た事があるけど、よくわからなかった……という小さい頃の経験が苦手意識を生み出しているかもしれませんね。
さて、洋楽器はご存じの通り五線譜表記ですが、殆どの邦楽器(和楽器)には独特の楽譜があります。
それらは文化譜、と呼ばれます。ここでは尺八の楽譜を紹介させて頂きます。
写真の通り、尺八の楽譜は「ロツレチハ」という基本五つのカタカナで表記されています(流派によって異なります)。少し変わった表記ですよね。このカタカナは、それぞれが指の塞ぎ方を示しており、「ロ」が最も低く、「ハ」が最も高い音となります。
例えば「ロ」とあれば全部の穴を押さえ、「ツ」とあれば、一番下の孔のみ開けて……という具合で決して難しくはありません。
ロツレチハの五つの運指を覚えられるかな、と不安に思われるかもしれませんが、小学生の子でも数回吹けば自然と覚え、演奏していますよ。
さて、日本の音楽には、この「ロツレチハ」が多く使われています。
ピアノの音階に直せば「レファソラド」という音の並びです。
是非ご自宅等にピアノがある方、順番に音を弾いてみてください。とても日本らしい音楽が流れるはずです。
日本中の民謡はこの「ロツレチハ」で殆どが演奏できますし、最近流行った「千本桜」などもこの「ロツレチハ」の音階で描かれています。
音楽の事を知らなくても、この音階は日本風だな、と感じるのは、我々が元より日本人だから、でしょうか。
ロツレチハ、レファソラド、が琴線に触れた方は、是非和楽器でも、一度奏でてみて下さいね。
更新日:2023.09.01
【第5回】國分 入道光雲先生
「和太鼓の力」
太鼓の音がどこからか聞こえてくると、なぜかドキドキして、どこから聞こえてくるか気になってしまう。そんな思いをする人は少なくないと思います。
和太鼓の音には何か人を引き付け、そしてドキドキさせるそんな力があるのでは?
ではその音の響きはどのようにして生まれてくるのか、そしてどんな力があるのでしょうか?
今回は私が和太鼓を始める切っ掛けと供にその力の源に迫ってみたいと思います。
少し長くなりますので文字数の関係上、何回かに分けてまいりますが、お付き合いください。
1998年11月名古屋ドームで開催された文化イベント、世界青年平和文化祭。
私はこの文化祭のファイナルの演目「和太鼓演奏」に20代の元気のよい青年をブッキングする役目を担うことに成りました。
皆さんにとって和太鼓打ちのイメージってどんな感じでしょうか?
屈強な若者が、鉢巻きを締め、法被を着こみ褌を締め込、勇ましくも賑やかに太鼓を打つ姿が思い浮かぶのではないでしょうか。
近所の若者に声をかけるも、みんな「和太鼓?ってなにするんですか?」という感じ、
もちろん、当の私も何と無くのイメージしか無く、最初は飲みに連れて行き、口説き落としたり、当時私は32歳、男としては一番血気盛んな年代、20代など、ガキ扱いでしたから、今で言う、パワハラもどきで、強引に参加させるなどしながらも、数十人集めていく内に、何か・・・俺も太鼓やろうかな・・・
そんな気になってしまい、オーディションカードを手に入れ、年齢詐称して、彼らと供にオーディションに紛れ込みました。
結果は見事合格、私が推薦したメンバーも全員合格し、春日井軍団(地元が春日井市なので)の結成です。
今回、名古屋ドームという巨大なステージでの演奏、春日井だけでなく、愛知・岐阜・三重からも青年達が集い、なんト111名の太鼓打ち、ただし全員が素人(笑)の大集団が生まれました。
やはりご想像のとおりこの大素人集団、体つきがゴツイ奴らばかり。
いわゆるガテン系から始まり、スポーツ関係者、武道系、格闘技系そして元ヤン、体つきも服装も考え方も自己主張が強い者ばかりが見事に集まりました。
それも20代ばかり、最初の説明会から、あちら、こちらですぐに小競り合いが勃発。
運営スタッフが右往左往している中、いよいよ今回、我々に和太鼓の指導をしていただく、50代と思われる、細身で、どちらかというと小柄な、男性が、上下黒のジャージに雪駄を引きずりながら登場です。
スタッフの声に耳を貸さない連中が騒ぐ中
壇上に、凛とした気迫をまといつつも穏やかな立ち姿で登場したこの男性でしたが、マイクを持つといきなり。
「おまんらガタガタ抜かすんやったら、わしが勝負したる!この壇上に上がってこんかい!!」の一喝。
一瞬にして会場がシ~~~~ンと静まりました。
本来なら運営側に回っていたはずの私、この混乱にいらいらしており、それこそブチかまそうと思い立っていたその時のこの一喝。
「この人・・・かっこいい・・・」
そう思わせてくださったのが私を和太鼓の世界に誘ってくださった「飛鳥大五郎」という男との出会いでした。
(次回へ続く・・・)
更新日:2023.08.01
【第4回】石田 巳賀先生
「花に恋して~七月」
暑中お見舞い申し上げます。夏も本番を迎えました。私の夏の思い出のひとつに、沖縄旅行があります。美しい海、南国の風、歴史。そこで出会った花器は、抱瓶(琉球諸島で造られる泡盛を入れて運ぶ酒器)の形をしていました。人々は、酒を抱きつつ友と抱きつつ未来を語らい、星空を眺め、時には幾千年の夢を思い馳せたことでしょう。
写真の作品は、そのイメージをいけばなで表現しました。使用した花材は、姫百合(ヒメユリ)・山帰来(サンキライ)・斑入り藪蘭(ヤブラン)・石蕗(ツワブキ)の青軸天星(アオジクテンボシ)です。花材について、少し説明をします。朱赤色で直径約6㎝の星型に咲いた姫百合は、万葉集によまれています。「夏の野の茂みに咲ける姫百合の知らえぬ恋は苦しきものそ」巻8-1500坂上郎女(さかのうえのいらつめ)。訳は、夏の野の茂みにひっそりと咲いている姫百合のように、人に知られない恋は苦しいですとのこと。山帰来は、山で病にかかった人がこの実を食べて元気に帰ってきたと言われることから、山帰来という名が付いたそうです。関西より西では、お餅などをこの丸い葉に包んだお菓子があります。藪蘭はユリ科の植物、葉を楽しみます。いける時に、葉を水拭きして使用すると艶がでて美しいです。石蕗は、キク科です。初冬に黄色い花を咲かせます。使用した石蕗の青軸天星は、6月から7月に最もたくさん鮮やかな星が葉に入る品種です。
伝統文化アドバイザーの華道石田流四代目家元石田巳賀が、花を生けることに関して質問にできる限りお答えします。お気軽にお声掛けください。
更新日:2023.07.13
【第3回】華房 小真先生
「端唄は江戸期の粋で乙な流行歌」
はじめまして。
「端唄•三味線」を演奏、指導しております、端唄 華房流華の会 家元 華房小真でございます。
このたび、みなさまに伝統文化•芸能をより身近に感じていただけるように、伝統文化アドバイザーが令和5年度より創設され、伝統文化アドバイザーを拝命いたしました。
江戸時代より名古屋は芸どころといわれ、その文化はまちやそこに暮らすみなさまに脈々と伝わり、息づいています。私が演奏指導しております端唄(はうた)は短くて30秒、長くて4分弱、三味線の音に乗せて、和ごころ恋ごころ花鳥風月を唄う七五調、詠み人知らずの江戸時代の流行歌。時代を超えて令和の現代にも愛唱•演奏されています。代表的な端唄といえば皆さまもご存知の「梅は咲いたか」「お江戸日本橋」「お伊勢参り」など数々あります。お稽古ごと、歌唱•演奏は元より歌舞伎の下座音楽、落語の出囃子、時代劇、芝居の挿入歌などにも端唄は演奏されていますのでお耳馴染みもあるかと思います。
また、名古屋には古くから伝わる都々逸の元といわれる熱田神戸節、正調名古屋甚句という素晴らしい歌があります。これらの曲も江戸時代の流行歌。私は端唄と共にこの名古屋の大切な伝統歌を身近に感じて頂けるように、郷土の歌をご当地の方は元より、県外の方、皆で愛唱し拡めようという演奏•指導活動にも力を入れております。
歌は時代を写す鏡。日本の素晴らしい和文化を歌から三味線の音色から、伝統芸能を身近に感じていただければと思っております。微力ながら、芸能を通じて、またはこのエッセイを連載する中で伝統芸能、和文化の水先案内人として皆さまのお役にたてましたら幸いです。どうぞお気軽に和文化•伝統芸能のご質問などお声掛けくださいませ。よろしくお願いいたします。
更新日:2023.07.13
【第2回】加藤 条山先生
「尺八はじめまして」
この度伝統文化アドバイザーを拝命致しました尺八演奏家の加藤条山です。宜しくお願い致します。
さて、日本の伝統楽器「尺八」ですが、一度でも、ご覧になられた事はあるでしょうか。私の印象ではまだまだ認知度が低い楽器の様に思います。
私は幼い頃から、祖父や叔父が尺八をやっていた環境にあり、遊び半分に吹いていたのが、いつの間にか真剣に取り組むようになって、今では数十年にわたってプロとして、地元愛知県を中心に活動しています。
尺八は、写真にあるように、真竹を根っこから切り取り、手穴が5個だけのシンプルな楽器です。シンプルなだけに奏者の技術がダイレクトに演奏に反映される、難しい楽器です。
ですので、私は自分の音が綺麗になっていく事が、子供の頃はただ楽しく、大人になっていくにつれて、それが、音の密度や艶という要素なのだ、と気づき、それにまた魅せられました。
一般的な尺八のイメージというと、着物を着て、髭を蓄え、仙人のような年配の方が吹き、渋く掠れた音で……という感じもしますが、実は老若男女、誰もが吹ける身近な楽器です。
近年は東海地方でも、女性の方や学生の方で習われている方も少なくありません。
楽器も、どうしても高価なイメージがありますが、今は、入門者用が幅広く流通しており、昔の尺八より安価で、音も遜色なく出すことができます。
尺八だけに関わらず、箏や三味線などの和楽器も、敷居の高いイメージがあるかもしれませんが、他の音楽教室の習い事と同じ感覚で始められます。
だんだんと、劇場へ足を運んだり、習い事を始められるご時世になりました。
もし、興味があれば、私でなくても結構です、門を叩いてみてはいかがでしょうか?
そして、相談事があれば、私たち伝統文化アドバイザーへ何でもお聞きください。
更新日:2023.07.13